The Crystals クリスタルズ / Brother Julius

Hi-Fi-Record2010-11-26

小西康陽 これからの人生。」HPで
「今月聴いた曲に突いて、もう少し。」のページを読んでいたら
フランソワーズ・アルディのヒット曲として知られる「さよならを教えて」が
作曲家アーノルド・ゴーランドが書いた曲であると書かれていた。


アーノルド・ゴーランドと聞いて
フィレス・レーベルとの関わりを思い出すひとも
結構いらっしゃるだろうか。


フィル・スペクター
ある時期からシングルのA面をプッシュするために
B面にはセッション・ミュージシャンたちによる
インストR&Bを収録していくようになるのだが、
即興で生まれたようなものばかりだから
そのほとんどの作曲クレジットはスペクターになっている(ずるい)。


ところが
アーノルド・ゴーランドは
その数少ない例外のひとりで
クリスタルズの2枚のシングルのB面曲で
作曲クレジットをもらっている。


これはすなわち
印税が彼に舞い込むわけで
ちょっとしたボーナスということになる。


ゴーランドは
ジャック・ニッチェがスペクターの右腕になるまでは
かなり重用されたアレンジャーでもあった。


皮肉にも
このクリスタルズのシングルのB面曲
「ブラザー・ジュリアス」あたりを境に
フィレスの表舞台に立つことはほとんどなくなってゆくのだが、
こうしたクレジットが捧げられているということは
スペクターにとって
彼に義理を果たしたい事情があったのかもしれない。


それにしてもこの曲、
そんな裏事情など吹っ飛びそうなくらい
何度聴いても
やけっぱちな勢いがすさまじいんだけど。


4、5回まわってニャンと鳴く その38 松永良平