Little Peggy March / I Will Follow Him

Hi-Fi-Record2010-12-04

 ハイファイの商品紹介コメントにあるように、1963年にリトル・ペギー・マーチによって全米1位に上り詰めた作品。
 作者はフランスのポップス・オーケストラ主宰者、ポール・モーリアとフランク・プウルセル。ふたりの共作だ。原題は「SI TU VEUX DE MOI」。最初にヒットさせたのは当時フランスに在住していたペトゥラ・クラークで、その際のタイトルは「Chariot(邦題は「愛のシャリオット」)」だった。
 これをペトゥラ・クラークの出身国であるイギリスで発表する際に「I Will Follow Him(邦題は「アイ・ウィル・フォロー・ヒム」)」のタイトルを用いた。リトル・ペギー・マーチのヴァージョンは、こちらに準じている。


 そんなことからポール・モーリア、あるはフランク・プウルセルのインストルメンタルでは、「愛のシャリオ」の邦題が用いられてきた。
 リトル・ペギー・マーチのヴァージョンは「アイ・ウィル・フォロー・ヒム」。
 というわけで、同じ曲に二つの邦題が用いられて来たことになる。同一曲に二つの邦題が用いられたのは、この曲ばかりではない。他のケースについて、こちらに記したことがある。



 外国曲を自国の言葉にして歌うという例は、60年代には実に多く見られた。
 アメリカでもドイツでもフランスでも相当に見られた。もちろん日本も同様だ。
 オリジナルの原曲から邦題を付けるか、アメリカ経由で輸入されたヴァージョンに邦題を付けるか、邦題の付けられるプロセスに違いによってタイトルがふたつ存在することになるのだが、それは各国で自国語に翻訳して外国曲を歌うことが盛んだったという事情による。そうした事態が多く見られたのも、著作権の考え方が比較的ゆるかったからという。


 各国で著作権の考え方が厳しくなってきている最近では、翻訳詞がほぼ許されない。すでに日本語の翻訳詞がある曲に、新たな翻訳詞を用いて歌うことも、まず認められない。誰が認めないのかというと、原曲の権利を持っている人、あるいは著作権を管理する音楽出版社である。翻訳詞による歌唱が、楽曲のプロモーションとなるという考え方が終わった、それが理由なのだという。


 ちなみにリトル・ペギー・マーチが歌う「アイ・ウィル・フォロー・ヒム」の「ヒム」とは、神のこと。キュートな声で歌われるこのうたを歌詞の面から見ると、実はゴスペルなのだった。(大江田信)



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