Craig Doerge クレイグ・ダーギー / Craig Doerge

Hi-Fi-Record2011-01-11

クレイグ・ダーギーのアルバムを
今日お店に新着で出すために写真を撮ろうとして、
ちょっと手が止まった。


あれ?
こんなところに
西陽が反射してる?


しかし
そんなはずはない。
もう陽はとっぷりと暮れているのだから。


ということは
このジャケットで
彼のうしろの壁に見える陽の差し込みは
もとの写真からあったものなのだ。


窓のある部屋で
昼下がりに撮った写真なんだな。


こういう場合
いくつかの考え方があると思う。


ひとつは
昼下がりの部屋にこういう感じでさりげなくいる
そんな男なんだよクレイグは
というイメージが
ちゃんとした腹案のもとにデザインされているという考え方。


もうひとつは
スタッフの誰かが
「ここ、陽が差し込んで色変わってますよ」と指摘したのだが
「いいよ、それくらい」と
スルーするような性格をクレイグがしていたという考え方。


さらに言うと
アート・ディレクターも含め
誰もそのことに気がつかなかった(気にしなかった)なんてパターンも
あるかもしれないが
ぼくとしては上記のふたつのどれかを採りたい。


このアルバムの音からは
そんな男の立ち振る舞いみたいなものが
伝わってくるからだ。


去年大々的に行なわれた
キャロル・キングジェームス・テイラーのコンサートでは
セクションから3人がバックを務めたが
唯一、クレイグ・ダーギーだけが不参加だった。


その不在で何か遜色があったとは思わないが、
この愛すべきアルバムをつくったひとを
この目で見てみたかったなと
ちょっとだけ思った。(松永良平