Waldo De Los Rios / Symphonies For The Seventies

Hi-Fi-Record2011-02-03

 坂本龍一が講師を務める音楽の学校「スコラ」の公開講座を録画して見た。テーマは、ベートーベンだった。


 ベートーベンは、実は相当に好き。


 好きなクセに、ついこうして「実は」とか「相当に」などと付けてしまう。どうも「ベートーベンが大好き」と率直には、言いにくい。
 

 内心でそんなことを思いながら見ていたら、番組の最後の方で、期せずして「なぜベートーベンを好きと言いにくいのか」という話題になった。


 オヤジくさい。がんばり過ぎ。くどい。


 こんな形容詞が並んだ。そうだよね、僕だけじゃない、誰もがそう思うんだろうなあ。ベートーベン好きってことは、オヤジでくどくいものが好きな人ってことになっちゃう。結局なんのことはない、ぼくの迷いは解決されずに残った。


 思いもかけない発見もあった。音楽史的に見ると、ベートーベンは極めて斬新なメロディをテーマに用いたという分析。へえ、そうなのかと驚いた。
 それからもうひとつは、晩年の作品に込められている祈りにも似た穏やかな世界についての論考。これには、共感した。
 ベートーベンとグールドについて、ほんのちょっとだが、触れられたのも面白かった。バッハ弾きとされているグールドだが、実はベートーベンの晩年の作品がとても似合うと、僕は密かに思う。


 自分にクラシックを聞く耳が備わっているのかどうか、わからない。
 学生時代を通して真剣にクラシックを学んだという友人は、ワルド・デ・リオスのベートーベンの交響曲第9番に、違和感を示した。
 ぼくはといえば、とても好き。


 ポップス・オーケストラが演奏するセミ・クラシックが軒並み好きだと言うことは、決して無い。
 ワルド・デ・リオスの音源を擁しているのは、スペインのレコード会社。そのためかなかなか商品を入手しずらいのだが、何枚か手に入れてみると、今のところどれも気に入った。どうしてなのか、我ながら理由はよくわからない。(大江田信)


試聴はこちらから。