Sue Raney / Wait Until Dark / Parade (A Banda)
B面に収録されているア・バンダについて少し。
ウェルナー・ミューラーの1968年と1970年の来日公演においてコンサートの終盤に演奏され、翌年発表されたライヴ・アルバムにはそれぞれ終曲として収録されていた。
数年前に手に入れたレコードを聴いていて、これが耳に残った。それから気になり始めた。
音楽家・詩人・小説家・劇作家であるシコ・ブアルキの作詞作曲による作品で、彼の出世作。1966年のTVへコールによる第2回歌謡音楽祭で第1位を獲得した時の映像を、投稿サイトで見ることが出来る。
タイトルはポルトガル語で”楽隊”と言った意味。リズミカルで陽気な楽天性が感じられる曲だ。様々なアーチストが、カバーしている。
いかにも肉食系の曲とボクの耳には聞こえるからか、ブラジル音楽に縁遠いように思われるアーチストがカバーしている際に、おや、似合うのだろうかといぶかしい印象を持つことがある。
最近になって聞いて驚いたのが、イタリアの歌手、ミーナのヴァージョン。60年代の初頭に数多くのヒットを放ったのち、1974年以降は一切のマスコミとの接点を遮断しながら、数多くのアルバムを発表し続けているという生き方にも大変な興味がそそられる人だが、その彼女が1967年にア・バンダを取り上げていた。
これがいい。
で、ここではスー・レイニー。
聞いてみると、これがまたいい。
カバー演奏のそれぞれが、曲がもともと持つ野性味のようなものをもってして命を吹き込まれている、あるいは生かされている、とでも言うような印象を持つのだが。
またどこかでア・バンダのクレジットを見かけたら、ぜひ手に取って聞いてみたいものと思う。(大江田信)
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