Jim Demitrack, Ken Hirsch, etc. / Leaving On A Jet Plane
タイトル曲の「Leaving On A Jet Plane」(邦題「悲しみのジェットプレーン」)は、空港に向かわなければならない男の焦心の胸の内を描いた歌だ。
早朝、タクシーがホーンを鳴らして待っている。
もう、家を出なければならない。タクシーに乗って空港に向かい、そしてジェット機に乗って、この街を去らなければならない。男は、愛する女性の家にいる。帰る時には、結婚指輪を持ってくる、と歌われる。
ジョン・デンバーが1966年に書いた歌だ。彼に才能を見いだしていたピーター、ポール&マリーの紅一点、マリー・トラヴァースの提案によってグループで採り上げることになり、1967年のアルバム「Album 1700」に収録された。とあるラジオDJが繰り替えしオン・エアしたことによって、ヒットの兆しが見え始めた1969年にシングル・カットされた。ほどなくビルボード・チャートの1位に上りつめている。
男の向かう先は、ベトナムである。
ただしこれは、歌詞に歌われてはいない。
歌詞には無くとも、歌に共感した当時のアメリカの聴衆には、それとわかっていたという。
話は転じて、21世紀に入ってのこと。
とあるレコード店で出会った日本人駐在員の方から聞いた話。
アメリカ駐在が決まって後に開かれた日本での歓送会のあとのカラオケで、大好きだったこの曲を歌ったそうだ。
歌詞には、いつ帰って来れるか、わからないという一節がある。行きたくないという一節もある。
アメリカの会社の社長をやることになっちゃって。そんな気分だったんだですよ。まだしばらく帰れないしなあと、つぶやくような口ぶりだった。(大江田信)
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