高田渡 etc./ 1972 春一番(CD)
このところ"懐かしい気持ち"について、考える。
"懐かしい気持ち"="後ろ向きのもの"と長く思ってきたし、"後ろ向き"とは、余り好ましくない態度と思ってきた。
果たしてそれは本当なのか?と、ふと思い始めた。
どこか温かい気持ち。今一度、戻ってみたいと思い返す気持ち。気持ちが集い合った場所を振り向くこと。
そんな懐かしい気持ちのどこが悪いのかと、考えるようになった。
"懐かしい気持ち"とは、見果てぬ夢の一つの表現なのかもしれない。もしかすると、明日の夢を思い描くときの原動力の一つかもしれない。
「1972 春一番 CD」に収録されている高田渡の「系図」を聞きながら、なんて力強いんだろうと、改めて感じる。アルバム「系図」の冒頭におさめられた穏やかなオリジナル・ヴァージョンもとてもいい。いい歌だと思う。
遠く懐かしい風景が、ふと立ち上る。(大江田信)