Peter Yarrow / Don’t Remind Me Now Of Time
これは映画「You Are What You Eat」収録の一曲。
映画の音楽は、ピーター、ポール&マリーの一員、ピーターが主導した。とっちらかってしまい、まとまりが付かなくなっていた状況を、なんとかするよう依頼されたのがジョン・サイモンだ。ジョンは、60年代の半ば過ぎまでコロムビアの社員ディレクターだった。ピーター・ヤロウが在籍していたピーター、ポール&マリーは、ワーナー・ブラザースの所属だ。同曲は、そのピーターがソロで歌う。
と、こんなことをとりとめなく考えるのも、どうしてワーナーからこのシングルがリリースされたのか、腑に落ちないから。映画のサントラ・アルバムはコロムビアからリリースされているのに、収録曲シングルがワーナーからリリースされているなんて。
テイクはアルバムもシングルも同じだと思う。別テイクではない。
不思議だ。
シングル盤の世界を歩いていると、思いもかけないことがある。アルバムだけを見ていると気づかないことが。
このシングルを手に取りながら、松永クンが、「かくしてマネージメントの力が強いということですよね」という。この時期のピーター、ポール&マリーのマネージャーは、アルバート・グロスマンだ。ボブ・ディランをはじめとして、キラ星のアーチストを手中にしていた豪腕マネージャー。ウッドストック・フェスの後始末をしたのも彼だ。
アルバムはコロムビア、シングルはワーナーという取り決めをしたのかもしれない。それぞれが応分の資金の負担をしたのかもしれない。それを仕切ったのがアルバート・グロスマンだったのかなと思いながら、ピーター・ヤロウの不思議な甘さのヴォーカルを聞く。(大江田信)