Peter Yarrow / Don’t Remind Me Now Of Time

Hi-Fi-Record2011-03-26

 これは映画「You Are What You Eat」収録の一曲。


 映画の音楽は、ピーター、ポール&マリーの一員、ピーターが主導した。とっちらかってしまい、まとまりが付かなくなっていた状況を、なんとかするよう依頼されたのがジョン・サイモンだ。ジョンは、60年代の半ば過ぎまでコロムビアの社員ディレクターだった。ピーター・ヤロウが在籍していたピーター、ポール&マリーは、ワーナー・ブラザースの所属だ。同曲は、そのピーターがソロで歌う。


 と、こんなことをとりとめなく考えるのも、どうしてワーナーからこのシングルがリリースされたのか、腑に落ちないから。映画のサントラ・アルバムはコロムビアからリリースされているのに、収録曲シングルがワーナーからリリースされているなんて。


 テイクはアルバムもシングルも同じだと思う。別テイクではない。
 不思議だ。


 シングル盤の世界を歩いていると、思いもかけないことがある。アルバムだけを見ていると気づかないことが。
 このシングルを手に取りながら、松永クンが、「かくしてマネージメントの力が強いということですよね」という。この時期のピーター、ポール&マリーのマネージャーは、アルバートグロスマンだ。ボブ・ディランをはじめとして、キラ星のアーチストを手中にしていた豪腕マネージャー。ウッドストック・フェスの後始末をしたのも彼だ。


 アルバムはコロムビア、シングルはワーナーという取り決めをしたのかもしれない。それぞれが応分の資金の負担をしたのかもしれない。それを仕切ったのがアルバートグロスマンだったのかなと思いながら、ピーター・ヤロウの不思議な甘さのヴォーカルを聞く。(大江田信)