Everything But The Girl / Everything But The Girl

Hi-Fi-Record2011-03-28

エヴリシング・バット・ザ・ガール
「ナイト・アンド・デイ」を聴いたのは
NHK-FMの「サウンドストリート」でのこと。


火曜日の坂本龍一さんがオンエアしたという説も
聞いたことがあるが、
ぼくは渋谷陽一さんの日に聴いたと記憶している。


正確に言うと
トレイシー・ソーンのソロ・アルバム
「ディスタント・ショア」を紹介するために
そのなかから「ナイト・アンド・デイ」ともう一曲(失念)を
渋谷さんがピックアップしてかけたのだ。


実はこの曲は
本当はアルバムの収録曲ではない。


トリオ・レコードから発売された日本盤LPのみに
エヴリシング・バット・ザ・ガール名義でシングル・リリースされていた
「ナイト・アンド・デイ」と「オン・マイ・マインド」が
ボーナス曲として追加収録されていたのだ。


両面で8曲しか入っていないオリジナル英国盤では
いくらなんでも2500円で売るには
収録時間が短すぎると判断されたのだろう。


そのへんのいきさつを渋谷さんが述べたかどうかも記憶にない。
ただ
ぼくはこの「ナイト・アンド・デイ」に大変な衝撃を受けた。


トレイシー・ソーンの
おとなっぽくてそっけない声にもおどろいたし
曲そのものも素晴らしいと思った。


音楽的な知識はなかったし
この曲がスタンダードであることすら知らなかった。


なんというか
多感な年頃のにきび少年として、
“ひとりぼっち”であることは
そんなにさびしいことではないかもしれないという
さりげないメッセージみたいなものを
この曲で受けとった気がするのだ。


音楽はひとをつなげる。
でも
人間がひとりであることを認め、
みんなとうまくやれないときを
ゆるしてくれるものでもある。


この曲を初めて聴いてから
もう30年近くになるのかと
年月の早さを思った。(松永良平