The Nashville All-Stars / After The Riot At Newport

Hi-Fi-Record2011-04-14

 このレコードにライナーを寄稿しているのは、ジョージ・ウェイン。ニューポート・ジャズ・フェスティヴァルを創設し運営した人物であり、著名なジャズ評論家である。「ジャズの歴史で最も重要な演奏家ではない人物」と言われることもあるという。


 アルバムの発表は1960年。演奏に参加しているメンバーは、チェット・アトキンス,ブーツ・ランドルフ、ハンク・ガーランド、 フロイド・クレイマーなど。当時のナッシュヴィルカントリー・ミュージックの制作現場におけるバリバリの現役ミュージシャンたちである。ここにジャズ畑のゲイリー・バートンが加わる。


 演奏されているのは、マジな4ビート・ジャズ。2ビートのオールド・ジャズでもなく、2ビートの残り香が感じられるスイング・タイプのジャズではない。あくまでも4ビートのジャズ、いわばバップである。


 メンバーがメンバーだけにジョージ・ウェインも「チェット・アトキンス、そう数多くのカントリー・アルバムで知られ、グランド・オール・オープリーに出演していることで知られるチェット・アトキンスと同じ人物だ」などと、ユーモラスに記している。そしてアルバムがどのようにしてレコーディングされたのかなど、事細かに説明している。正面から聴いてジャズとして面白いということを、ジョージ・ウェインがライナーを書いたことが証明していると言って良いのだろう。彼がホンキで心を揺り動かされていることがわかるライナーだ。


 いくつかのハイライトのうちで、彼に最も感銘を与えたのが、チェット・アトキンスのギターだという。
 そのチェットの演奏を「フランキー&ジョニー」で聴くことが出来る。冒頭はいつものチェットだが、だんだんとジャズに寄ったギターを弾き始め、ピアノのアドリヴのあとの演奏は、それは素晴らしくユニークだ。


 ジョージ・ウェインがライナーでも述べているように、多くのカントリー音楽のミュージシャンたちは、ジャズを愛していた。
 ジャズを演奏出来るけれども、彼らはカントリーの音楽現場で働いていた。
 そんな現実がほの見えてくるアルバムでもある。(大江田信)




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