James Last ジェームス・ラスト / Games That Lovers Play

Hi-Fi-Record2011-04-21

 このところアルフレッド・ハウゼのタンゴを、ずうっと聞いている。
 なんだか同じような文面を書いたなと思い出して、振り返ってみたらこの日の冒頭とよく似ていた。


 ということはもうひと月以上、タンゴを聞いていることになる。
 この間の発見は数多くあるが、タンゴを聴くときのコツをより解るようになった気がした。そしてあらためて感銘を受けたのは、カルロス・ガルデルのヴォーカルの素晴らしさだ。
 北中さんが、NHK-FMの番組「ワールド・ミュージック・タイム」で林亭の「風」を選曲してくれた際に、「風」の前に配していたのがカルロス・ガルデルの「想いのとどく日」だった。このような巨匠と並べて頂き感謝をしながらラジオの前で聞いたというほかに言葉は無い。偶然のこととはいえ、こうしたタンゴの日々にラジオから聞くと、なんだかひどく感じるものがあった。



 アルフレッド・ハウゼの音楽を聞き周辺を調べると、ハウゼは作曲家であり、音楽監督、指揮者であるものの、直接は編曲していないらしいということが解ってきた。同じドイツの音楽家、ウェルナー・ミューラーもアレンジの多くをバンドのメンバーにゆだねていたが、どうもハウゼも同様だったようだ。



 50年代末から60年代の終わり頃までの間に、アルフレッド・ハウゼ・オーケストラには、複数のアレンジャーが関わった。その一人が、ジェームス・ラストだ。彼の本名は、ハンス・ラスト。アレンジをするときには、ハンスの名前を使っていた。60年代の中頃から自身のオーケストラを持つようになって、ジェームス・ラストを用いるようになっている。ワールド・ワイドな活動が視野に入ってくるにしたがって、名前も英名にする必要が生じたのだろう。



 ハンス・ラストは、ハウゼのオーケストラでベースを弾きながら、編曲をしていた。自身の名前でオーケストラを持つチャンスを得た後、ジェームス・ラスト名で発表されている音楽と、ハウゼに提供した編曲とでは、全くと言っていいほどに芸風が違う。それだけプロの技の持ち主なのだ、といことになるのかもしれない。なにしろ1970年代にノンストップ・ダンス・アルバムを軒並みヒットさせていた彼は、ドイツ国内で60年代のビートルズにも並ぶ人気だったと言われているのだ。
 「恋のゲーム」は、ハンス・ラスト最大のヒット曲のひとつ。まずはこちらを聞き直しつつ、ジェームス・ラストこと、ハンス・ラストの腕前を観てみよう。(大江田信)


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