Simon And Garfunkel / Parsley, Sage, Rosemary, And Thyme
ゴールデンウィークのためか、ご来店のお客様が多い。ちょっとした会話が弾む。ジョニー・ラッソのCDの感想、アンドレ・プレヴィンが5回も結婚した話、かつて70年代の初頭にレコードの原材料となる塩化ビニールが品薄となったときに、街のレコード屋さんで店員をしていたという方の昔話、わざわざ奈良から「手塚治虫のブッダ展」を見に東京に見えたという方の感想などなど、それぞれあれこれと話しているうちに一日が終わってしまいそうだ。
奈良から見えた方は、春一番の会場で林亭の演奏を聞いたということで、恐縮しきり。あれやこれや間違えたなあと密かに反省していたのだが、「聴きましたよ」と仰る表情を見てほっとした。肩の荷が下りたような気持ちになる。
音楽を聴いてなんだか口幅ったいことを書いたり言ったりしているくせに、いざ自分が演奏するとなると、情けないことおびただしい。楽器を演奏しながら歌うと、どうも楽器がおろそかになるらしい。リハーサル中に相棒がさりげなく指摘するダメ出しに、よくそんなことに気がつくものだと感心をする。自分も楽器を弾きながら歌っているというのに。
前回の買付の際に、サイモンとガーファンクルのDVDを買って来た。それを相棒に渡した。このアルバムを発表する前年くらいの時期に収録されたテレビ番組の映像だ。
二人だけで演奏している。ギターを弾きながら歌うのは、ポール・サイモン。アート・ガーファンクルは、楽器を持たず、ジーンズのポケットに手を引っかけながら歌う。
リハーサルの時に、DVDの話をする。相棒はS&G好きだ。ビデオを見たかと尋ねると、「ああ、半分くらい見た」と答えが返って来た。「良いよねえ」と言うと、「ああ」と答える。
楽器を持たずに歌うアート・ガーファンクルの姿に自分自身をなぞらえたくて、さらに「ああいう演奏スタイルもいいよねえ」と言うと、どうもこちらの魂胆に気付いたらしく、「ダメだよ、楽器弾くんだよ」と軽く一蹴されてしまった。(大江田信)
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