The Di Mara Sisters ディマラ・シスターズ / Cha Cha Italiana

前にもどこかで書いた話だったら
ごめんなさい。

フランスパンには
トラウマがあるという話。

書きましたっけ？
まあ、いいか。

20歳の春に
沖縄へ行った。
東京から船で。

最終目的地は西表島だったが
まずは那覇まで船で揺られて二泊三日。

最低限のお金しか持ち合わせがないので
船内では節約をこころがけなくてはならない。

そのときに思いついたのが
長いフランスパン。

おとなの腕の長さ（太さも）ほどあるし、
あれを一日に三回に分けて食えばいいんじゃね？

そう思って
出航直前にパン屋さんで
フランスパンを二本買った。

夕闇迫る埠頭を船が出ると
早速おなかが空いてきた（若いので早い）。
ところが
三等船室には
春休みで旅行に行くらしい女子高生の一団がいて
どうにもそこでフランスパンを丸かじりするのは照れがあった。

というわけで
甲板に出て
夕陽に照らされながらフランスパンをひとかじり。

誰かが見たら
ソプラノサックスでも吹いてるんじゃないかと
思ったかもしれない、なんて
今でこそ笑い話だが、
ここから先は笑えない。

フランスパンって
大きさの割に意外と“食いで”がなくて
一晩のうちに
ほとんど一本たいらげてしまったのだ。

さて
結局そのあとどうしたんだっけ？
つづきは書かないので
気になるひとはお店でぼくに聞いてちょうだい。

あれ？
でも、このレコード、
フランスじゃなくてイタリアって言ってますね。
あれあれ？（松永良平）