Caterina Valente / Toast To The Girls
昨日の続き。
ひとまずカテリーナ・ヴァレンテの初期のアルバムから聴き始めた。
1931年にイタリア国籍のもと、フランスに生まれた彼女が最初にステージに立ったのは、5歳のとき。21歳でドイツ人男性エリック・ヴァン・アロと結婚して、ドイツとイタリアの二つの国籍を持つことになる。
22歳の11月に当時のドイツ・ポピュラー音楽界の実力者だったクルト・エーデルハーデンのオーケストラにゲスト・シンガーとして招かれ、持てる力を遺憾なく発揮した。これをきっかけに彼女は、ドイツのレコード会社との契約に進んで行くことになる。
ということでクルト・エーデルハーデンと共演したレコードが、これ。
1954年にドイツ国内で大成功した彼女が、「マラゲーニャ」と「そよ風と私」の大ヒットによってアメリカに進出したのが、55年のこと。このエーデルハーデンをバックに歌うレコードは、スタンダード作品を英語で歌唱するものとなっていて、しかも裏ジャケットのライナー・ノーツも英語となると、恐らくアメリカ市場を意識して制作されたはず。
彼女は1959年にはドイツ・デッカに移籍するので、このドイツ・ポリドールからリリースされたアルバムは、55年から59年の間にリリースされたものと思われる。
こんな推測も、ドイツで出版された完璧なディスコグラフィさえ届けば、すぐに答えが出るのだが。
冒頭のシークレット・ラヴを聴いてビックリ。なにより驚かされるのが、その若々しい声と、素晴らしくセンスのいい歌唱。まったりと歌われることの多いこの曲が、活き活きと軽やかに表現されている。これだけの逸材と出会うと、アレンジャーも本気になるのだろう、アイデア溢れた編曲が楽しく、ジャズをよく知る者ゆえのペンの冴えもバッチリだ。
それにしてもと、気になり始めるのが、なぜ彼女がプロデューサー兼アレンジャーにウェルナー・ミューラーを選んだのかと言うことだ。
50年代半ばに始まった二人の音楽上の蜜月は、60年代に入っても途絶えることなく続いて行くことになる。(大江田信)
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