Ronnie Aldrich And His Two Pianos / The Magic Moods Of

Hi-Fi-Record2011-05-21

 ロニー・アルドリッチがレコーディングの仕事を始めたのは、確かもう若くは無い時期だったと思う。40代の半ばだったか。60年代の初頭のことだ。
 その後の20年間の間に、膨大な数のレコーディングをしている。


 聴いても聴いても、まだ聴いたことの無いアルバムが見つかる。
 彼の音楽の特質を言い当てたいと思いつつ、なかなか言葉にならずにもどかしい思いでいたところ、やっとこれかなと思う表現が見つかった。
 それは"間"だ。


 ロニー・アルドリッチのアルバムは、メロディを弾く一台と、オブリガードを弾く一台とを左右に振り分けて収録されているところに特徴がある。たぶんこれが画期的だったのだろう、当初からアルバムがよく売れた。


 このメロディを弾く方のピアノが、独特だ。ほぼメロディを弾いている。それも装飾は、ほとんど無い。フェイクすることも無いし、もちろんアドリヴすることもない。なんだ、ただメロディを弾いているだけじゃないかと思うと、そこに微妙な"間"が入ることに気付いた。
 

 朴訥と言うことも出来るし、素朴と言うことも出来るだろう。どんな曲のメロディも、そちらの方向に一定に寄って行き、そのような情感をはらむ。どんな曲のカバーをしても、どこかしらロニー・アルドリッチ節になる。


 たぶんこれが彼の音楽作りのポイントであり、好セールスを上げた秘訣ではないかと思う。
 そのようにして、今一度、ロニー・アルドリッチの音楽を聴いてみよう。
 それにしても聴きかえすレコードが、いっぱいあるなあ。(大江田信)

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