Society Of Seven / How Has Your Love Life Been?

Hi-Fi-Record2011-05-22

 アルバムを聴いていたら、どうも聴き馴染みのあるメロディが続く。よくよく調べてみたら、彼らが前年に発表していたアルバム「99.8」と収録曲が同じとわかった。
 

 ただしジャケットが違う。
 「99.8」の方はと言うと、ハワイのロコの雰囲気を丸出しにしたメンバーが、にんまりと笑っているジャケ。
 「How Has Your Love Life Been?」はというと、ご覧のように長い髪の若い白人女性が、それとなくうつむいているもの。


 ジャケットにはっきりとは書かれていないものの、どうやら「How Has Your Love Life Been?」は、彼らの西海岸ツアーのために製造されたものらしい。「99.8」が74年にハワイでリリース、「How Has Your Love Life Been?」が75年のリリース。つまり75年に予定されることになったツアーの会場での販売物として、このレコードが作られたと考えていいようだ。


 こちらのジャケットには、長袖のふんわりとしたシャツをはおっている女性が写る。ここにはことさらハワイらしさを示す意匠は記されていない。
 西海岸コンサートを実施するにあたって用意されたレコードのジャケットに、旧来のハワイ的アイコンが無いことは、印象的だ。なぜならそれまでハワイ土産的に製造されたレコードのジャケットには、必ずといっていいほどに、ダイヤモンドヘッドや海の様子、フラを踊る女性など、いかにもハワイらしいそれが印刷されていたからだ。そうしたハワイらしさが、ジャケットに登場しなくなるのは、ギャビーの通称ブラウン・ギャビー以降のことである。
 そして加えて60年代のヒッピーの時代以降のファッションという風な出で立ちも、興味深い。ソサエティ・オブ・セブンの面々は、ハワイもまたアメリカなのだということを示したかったのだろうか。


 彼らは、ことさらにハワイアン的な音楽を演奏するグループではない。カラオケを録音するのも本土のプロデューサーのもとに本土のスタジオで行なって来た。それをハワイに持ち帰って、おそらく彼らのショーのための音楽としても用いながら、レパートリーを増やしてきたはずだ。
 そういう風に音楽を創り、ハワイのホテルでほぼ毎日、一年中、ショウを開いて来た。
 メンバーが入れ替わりつつ、今でもワイキキのホテルで、音楽を満載した、面白おかしいショウを続けている長寿エンターテイメント・グループである。


 新たに用意された「How Has Your Love Life Been?」のジャケットからは、彼らの意図が読み取れる。
 ことさらハワイらしさを用いずに、アメリカ本土でコンサートを成功させようとしとした。これは、なにも彼らが始めてではない。すでに50年代のアルフレッド・アパカが、試みていたことでもある。ハワイという小さなエンターテイメントの世界で活きる彼らにとって、それは恐らく一つの願いだったのだろとも思う。(大江田信)


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