Chet Atkins チェット・アトキンス / Me And My Guitar

Hi-Fi-Record2011-06-24

 ドン・マクリーンというシンガー・ソングライターは、いったいどのように評価されているのだろう。いや、それとも日本ではもうすっかり忘れ去られているのだろうか。


 マドンナが彼の代表曲「アメリカン・パイ」をカバーしたと聴いた時にはビックリしたものだけれども、音源をきいてまたビックリすることになった。マドンナのヴォーカルにピッタリの仕上がりだったからだ。「女神からの贈り物のようだ」と作者のドン・マクリーンが評した気持がわかる。ふんわりと官能的だった。このヒットをきっかけにしてドン・マクリーンの名前が幾度かFM放送から流れたこともあったように記憶するが、それももう10年も前のことだ。


 ドン・マクリーンの書くメロディは、素朴で暖かい。
 彼の音楽的なルーツは、フォークとするのが通説のようだ。近作でもフィドルバンジョーとドブロが奏でるバックサウンドに乗せて、楽しげに歌を披露していた。
 彼の書くメロディの情感を解き明かすには、それにしてもフォークという要素だけでは足らない。ロックンロールとも違うし、ポップとも言いにくい。ギターを手にしてメロディを紡いでいるのだろうと想像出来るのだが、ドン・マクリーン節とも言うべきメロディがほろっとこぼれる一瞬には、不思議なマジックがある。

 
 チェット・アトキンスのギターとドン・マクリーンのメロディとは、黄金比で結ばれているかのように、相性がいい。
 彼の弾く「Vincent」は、絶品だ。(大江田信)


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