The Dave Brubeck Quartet / Jazz Impressions Of Japan
このところ興味を持って聴いているのが、外国アーチストが描く【Japan】である。
ウェルナー・ミューラーがリカルド・サントス名で発表したアルバムに収録された「さくらさくら」や、エドムンド・ロスが日本のメロディを扱ったアルバムに収録したサンバ・アレンジ(!)の「冬の夜」の響きなどが、耳から離れないというのが、その理由だ。
音楽の細部を積み上げて行ってたどり着いたとは考えにくい、鮮やかなアレンジ。歌詞が発する情緒を無視して、メロディを楽音としてのみとらえた器楽的な編曲の大胆さに驚く。
もうひとつ面白いのは、初演時に日本の聴衆がどのような思いと共に聴いたのか、察する術も無いが、今にして聴いてみると違和感無く響く演奏があるということだ。例えばカーメン・キャヴァレロが演奏する日本のメロディは、極めてスムースに耳に入ってくる。時おり混じる日本語発音の小さな違和感をのぞけば、カテリーナ・ヴァレンテが歌う日本語曲には、親密さすら感じることがある。
日本人の我々が思うところの日本と、外国アーチストが描く日本との間には、もちろんズレがある。そのズレが決して愉快ではない場合もあれば、とても面白い場合もある。「ぼくのハリウッド・ボウリング」と題されたYMOロサンジェルス公演のリポートを読みながら、そんなことを考える。日本人が、外国人向きに描く日本が、楽しい場合もあれば、決して愉快ではない場合もあることにも、思いあたる。
ぼくにもやっとエキゾ・ブームが舞い降りて来たということか。
そんなことをつらつら考えながら聴くと、とても興味深いレコード。(大江田信)
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