たちなみえみ / Nightingale

Hi-Fi-Record2011-07-19

富山県高岡市で活動する女性SSW、
たちなみえみさんの新作「Nightingale」が届いた。


前作から一年ほど。
マイペースながらハイペース。


彼女をサポートしている高岡市のレーベル、
雑楽工房の主宰者、石浦さんによると
今もどんどん曲が出来ているらしい。


曲。


曲か。


曲を作ることを作曲という。


ところが
たちなみさんの作る曲には
“曲を作った”という匂いがあまりしない。


空気とか
ふとした思いとか
そのへんにふわふわしている日常を
すっと吸い込んでギターを弾いて声にしたら
それがもう歌だった、みたいな。


でも
ただ気楽にふわふわしているだけじゃない。
どこか譲れない線を持って生きているひとの
ひたむきさや手強さを感じさせるようなところもあって。


自然な呼吸のまま歌っているような発声とか、
英語詞にせよ
日本語詞にせよ
独特としか言いようのない譜割りやフレージングとか、
それは彼女の自然さの現れであると同時に
存在証明のようなものであり
なくせないクセのようなものでもあるのだろう。


アルバム「Nightingale」には
そのクセを
好ましく感じる瞬間が多い。


レコーディングの仕上げは
つい先週まで
徹夜も辞さないほどの集中で行なわれていたそうだ。


録れたてほやほやだからなのか。
たちなみさんの呼吸を
ずっと近くに感じる。(松永良平