The Bunch / Rock On

Hi-Fi-Record2011-07-30

 先日、店頭に見えたお客様とロンドンの話になった。イギリスのロンドンである。
 学生時代をロンドンで過ごされたという。お話をしているうちに、そういえば僕自身もロンドンに行ったことがあることを思いだした。ロンドンにはこれまでに何回か旅していた。


 一回目は、学生時代の貧乏旅行で。パリから飛行機で入った。ヒースローに着くはずだったのが、何らかの理由で地方の小空港に変更になり、機内で市内までの列車の切符が配られた。1974年だった。二回目は、ベルギーのブルュッセルから夜行列車に乗った。列車は英仏海峡を渡る船に乗り込み、朝起きると霧に包まれた薄暗いロンドン郊外を走っていた。これは78年。三回目は、飛行機で直接、日本からヴァージン・エアを利用して入った。84年のことだったと思う。そういえば90年にもロンドンに行った。このときは、市内と郊外の移動に車を利用した。
 3回目と4回目のロンドンは仕事だったので、ホテルと仕事場の往復の毎日だったのだが、それ以外はプライベートだった。


 とあるレコード屋で、店内にあったブリンズリー・シュワルツのレコードすべてを買った。そのレコード店の壁に、このレコードがかかっていた。アルバムの発売は1972年なのだから、そうなるとぼくが立ち寄った店は中古レコード店だったのだろう。1974年の旅のときだ。もう遥か彼方の出来事で、どこに何をしに行ったのか、覚えていることはそれほど多く無いくせに、このジャケットが壁にかかっていた光景は、なんだかそこだけスポット・ライトがあたっているように、くっきりとしている。


 好きなレコードとなると繰り返し聞くくせに、詳しく調べようとはしない。そんなぼくの癖が最大限に発揮された(?)アルバムだ。今の言葉で言えばトリビュート盤ということになるのだろうか。ロックンロールが好きだと言う気持を、自分たちの流儀の演奏作法を用いながら、素直に表明している。歌詞のシンプルな言葉が語るものたち。それだけでもう充分だと言う気持ちになってしまうのだ。(大江田信)


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