Skeeter Davis / I’ll Sing You A Song And Harmonize Too

Hi-Fi-Record2011-07-31

先週だったか
ロレッタ・リンのレコードを品出しした。


オールドファッションな
直球の女性ポップ・カントリー歌手。


こんな酔狂なレコード、
思わず買付してしまったけど、
つねづねこういう市場はないと言われるこの日本で、
おれ以外にもおもしろがってくれるひといるかしら?


半信半疑で出してみたのだが
あっさり売り切れてしまった。


とは言いつつも
自分なりの勝算もなくはなかったのだ。


たとえば
スキーター・デイヴィス。


彼女のレコードは
その多くがハイファイの人気商品になっている。
彼女には「エンド・オブ・ザ・ワールド」というポップ・ヒットがあるとか、
NRBQと共演したアルバムがあるということをフックにして
最初のうちは売っていたのだが、
そのうち別の理由を感じるようになってきた。


ある種のカントリー歌手の歌声には
ノスタルジー
現在進行形の甘酸っぱさに置き換えて
普遍的なものとして伝える力が備わっている。


イノセントと言い切ったら
美し過ぎて嘘くさくなりそうなところを
絶妙に人間臭く回避してみせるような知恵もあって。


シー&ヒムの
ズーイー・デシャネルが今受けているのも
なんとなくそういう
良い時代のカントリー・ミュージックにあった
街娘の歌とでもいうような
気の持ちようがあるんじゃないのかな。


それと
もうひとつ。


いいなと思える
女性カントリー歌手は
だいたい鼻声だ。
あの鼻声には
魔法の伝統がある。


ズーイー・デシャネル
そうなんだよね。(松永良平