Skeeter Davis / I’ll Sing You A Song And Harmonize Too
先週だったか
ロレッタ・リンのレコードを品出しした。
オールドファッションな
直球の女性ポップ・カントリー歌手。
こんな酔狂なレコード、
思わず買付してしまったけど、
つねづねこういう市場はないと言われるこの日本で、
おれ以外にもおもしろがってくれるひといるかしら?
半信半疑で出してみたのだが
あっさり売り切れてしまった。
とは言いつつも
自分なりの勝算もなくはなかったのだ。
たとえば
スキーター・デイヴィス。
彼女のレコードは
その多くがハイファイの人気商品になっている。
彼女には「エンド・オブ・ザ・ワールド」というポップ・ヒットがあるとか、
NRBQと共演したアルバムがあるということをフックにして
最初のうちは売っていたのだが、
そのうち別の理由を感じるようになってきた。
ある種のカントリー歌手の歌声には
ノスタルジーを
現在進行形の甘酸っぱさに置き換えて
普遍的なものとして伝える力が備わっている。
イノセントと言い切ったら
美し過ぎて嘘くさくなりそうなところを
絶妙に人間臭く回避してみせるような知恵もあって。
シー&ヒムの
ズーイー・デシャネルが今受けているのも
なんとなくそういう
良い時代のカントリー・ミュージックにあった
街娘の歌とでもいうような
気の持ちようがあるんじゃないのかな。
それと
もうひとつ。
いいなと思える
女性カントリー歌手は
だいたい鼻声だ。
あの鼻声には
魔法の伝統がある。
ズーイー・デシャネルも
そうなんだよね。(松永良平)