Dick Marx ディック・マルクス / Sweet Savagery
小学校のころの夢は
漫画家になることだった。
漫画を読むのが好きだったし
話をつくるのも好きだった。
これで
画力がもっとあればよかったと思うのだが、
たいていの漫画家志望少年少女がそうであるように
(いや、ぼくだけかもしれないが)
横顔でつまづいた。
横顔はむずかしい。
正面をどれほどうまく描けたとしても
横や斜めをきちんと描けなければ
立体化しない。
それじゃあ
絵に
なんとなく魂が入らない。
自分が
つくりものの
ぺらっとした人間を描いてしまっているように思えて
いやになってしまった。
たとえばこのジャケットのような横顔、
こういうものを
さらっと描けたら最高だったろうに。
横顔に対するコンプレックスがあるため
買付でも
こういうジャケによわい。
それはまったくいなめない。(松永良平)