Gladys Knight And The Pips / Imagination
「夜汽車よジョージアへ」。最高ですね。アメリカの買付中、ラジオで繰り返し流れたこの曲にあまりにハマって、思わず買い付けてしまいました。
コメントにそうあった。
買付け中のラジオ。
ここしばらく買付に出向いていない(といっても半年くらいだけれども)ボクは、この言葉に、急に胸が締め付けられるような気持ちになった。
買付け中のドライヴァーにとって、そして同乗者にとって、ラジオはいつでもそばにいてくれる友達なのだ。
同乗者がふと眠りに落ちることもある。
もちろんドライヴァーも眠い。買付が始まって当初、まだ時差ボケが残っている時には、突然に睡魔が襲ってくるときもある。
そういう時は、自分で自分の太腿をつねりながら、ラジオの音を少し大きくして車を走らせる。
胸が締め付けられるようになったのは、「夜汽車よジョージアへ」の冒頭にある「L.A.が自分にはうるさすぎる街だ」という一節が耳に入ったからでもある。
ハイファイを引き継いだたばかりのころ、買付を始めたばかりのころに、ロスに行った。手持ちのキャッシュが無くなったボクらに、自分は日本人からイヤな思いをされたことが無いというそれだけの理由で、段ボール何箱ものレコードを「持って帰れ、あとから金を送ればいいから」と言ってくれた店主。どれだけ救われた気持ちになったことか。とにかく必死にありったけの金でレコードを買っていた。
夜の高速を走りながら眺めたロサンジェルスの街の光景が甦った。
ロスからジョージアまで、西海岸の街から東海岸の州までなんて、まさか一晩でたどり着くことはあるまい。丸一日でさえもたどり着かないだろうに。そんなことを思いながら聴いていると、どうやら男性陣のヴォーカルとグラディスの女性ヴォーカルとの掛け合いに、ドラマが隠されている歌らしいとわかってきた。
失意の思いでロスを去る主人公は、一人ではない。そばにロスで知り合った女性がいる。夢は叶うとは限らないと歌いながらも、一人ではないことに安らぐ男が、汽車の車窓に座っている。(大江田信)
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