Dionne Warwick ディオンヌ・ワーウィック / Walk On By (4songs EP)
昨日のブログで
この「Voices In Hi-Fi」が終了することを書きました。
「残念です」という意味合いのお声を
すくなからずいただきました。
励みになります。
ありがとうございます。
とりあえず
最後までいつものように書きおおせたいと思います。
ぼくの担当日は今日を入れて
あと3日です。
では
ここから文体を
いつもの調子に戻します。
えい。
つい昨日のニュースだが、
リーバー&ストーラーのジェリー・リーバーと
アシュフォード&シンプソンのニック・アシュフォードが
相次いで亡くなった。
アメリカのロックンロールと
ソウル・ミュージック界を代表する
名ソングライター・コンビの半身が
いなくなったわけだ。
ニック・アシュフォードの享年70歳というのは
まあそれくらいかなと思うわけだが、
おどろいたのは
ジェリー・リーバーの享年78歳だ。
いわゆるブリル・ビルディング世代のソングライターたちの
お師匠さんにあたり、
意識としては半世紀も前の偉人なのに、
ぼく自身の父親ともそれほど大きくは歳が離れていない。
若い!
50年代後半に起きた
ロックンロールとポップスの革命的な変化を
いかに若い才能が担っていたかということを
思い知らされる。
そしていっぽう、
今年82歳のバート・バカラックは
リーバー&ストーラー(ふたりは同い年)よりも
年上ということではないか。
さらに
バカラックの相方であった作詞家のハル・デヴィッドは
それよりもっと上で今年90歳になる。
そしてまだまだお元気なのだそう。
ということは
ディオンヌ・ワーウィックに
「ウォーク・オン・バイ」の歌詞を書いたとき
ハル・デヴィッドは40歳をとっくに過ぎ
今のぼくと同じくらいの年齢だった。
若くない!
でも興味深い!
バカラック&デヴィッドが
同時代のソングライターよりずっと年上だったという事実も
実は彼らの残した名曲にまつわる甘くて苦い感傷を
解き明かす鍵のひとつだと
実は思っている。
ポップス作家の時代論、作風についての論はあっても
世代論や人物論って意外と見かけない。
彼らを人間として近付いて見つめる考え方を
もうすこししてみたくなる。
wikipediaは役に立つけど
こういうひとたちが
頑固だったとか遅筆だったとか
何が好物だったとか
どういう店に出入りしていたとか
奥さんに優しかったとか弱かったとか
そういうことまではほとんど書いてないのだ。
ネットでわかんないことはないだなんて言って
結局のところ
ぼくにとって肝心なことは何もわかんないじゃないか。
なんてね。
先人のご冥福を祈って
お茶でも飲もう。(松永良平)