The Anita Kerr Singers アニタ・カー・シンガーズ / Sounds

Hi-Fi-Record2011-08-26

 アニタ・カーからメールをもらった。


 70年前後から80年代にかけて、どのようなメンバーとレコーディングしていたのか、アニタ・カー・シンガーズのメンバー構成を具体的に聞いてみたところ、返事が返ってきた。メンフィスに生まれた彼女はナッシュヴィルでキャリアを積み、ロサンジェルスに音楽活動の場を移した後、スイスに移住する。このスイス移住後のキャリアが今ひとつ、わからない。そもそのキャリアの絶頂期だった1970年の時点で、なぜスイス移住となったのかも不明だ。移住のすぐ前に結婚した夫君のアレックス・グローヴの事情によるところが大きいのではないかと想像しているのだが、もちろん確証はない。


 彼女はスイス移住後は、作品の録音をほとんどロンドンで行った。それまでのロサンジェルス時代のメンバーを、毎回々々ロンドンに呼んで録音するわけにはいかなかったようで、彼女曰くロンドン・シンガーズと称するメンバーと共に録音することになった。ロンドン在住のメンバーたちのところに、渡英した自分が加わってセッションをするスタイルを取る。
 アニタ・カーは60年代からロンドンでのアルバム制作を行っていた(例えばグラミー賞を受賞したヘンリー・マンシーニのソングブック・アルバムはロンドン録音)ので、それなりにノウハウを持っていたのかもしれない。おそらくオーディションでシンガーズのメンバーを決めたのだろう。(ナッシュヴィル時代にオーディションをうけて合格し、メンバーに加わったドティー・ウエストがそのプロセスを語っている映像がある)。それにしても絶妙の声の持ち主を集めたものだ。なにをポイントにオーディションをしていたのだろう。
 ロンドン・シンガーズの顔ぶれは、アルバムごとに変わっていた。サイモンとガーファンクルの作品を歌ったアルバム「SIMON & GARFUNKEL SONGBOOK」のアルトは、あのバーバラ・ムーアだが、ジム・リーヴスの作品を歌う「I SANG WITH JIM REEVES」では、アン・シモンズがアルトを歌っている。



 このアルバムはロサンジェルス録音と思う。
 となるとアルトはジャッキー・ワード、テナーがジーン・マリーノ、バスがボブ・ティーボウのロサンジェルス・シンガーズによるものだ。ソプラノとソロは、アニタ・カーのヴォーカル。
 なおロサンジェルスのセッションでは、ピアノはいつもピート・ジョリーに頼んでいたという。そういえばアニタ・カーがアレンジしたピート・ジョリーのシングルがあった。(大江田 信)


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