The Anita Kerr Quartet / We Dig Mancin

Hi-Fi-Record2011-08-27

 アニタ・カーが最初にグラミーを受賞したのは、このアルバムだった。「Best Performance By A Vocal Group」のカテゴリーで栄誉を得ている。
 その翌年にも同じカテゴリーで、受賞した。こちらは「A Man And A Woman」のシングル盤の演奏に対して与えられている。
 そしてこちらはあまり活字になっていないのだが、「Best Gospel Or Other Religious Recording」のジャンルで1965年にジョージ・ベヴァリー・シーとの共演アルバムでグラミーを受賞した。
 つまり2年間で3つのグラミー賞を得たことになる。


 1966年の作品は、ワーナー・ブラザーズからで、ロサンジェルス・シンガーズによるもの。こちらの1965年の作品は、ナッシュヴィル・シンガーズがコーラスをしている。
 65年と66年の間には、ナッシュヴィルからロサンジェルスへの転居や、RCAからワーナー・ブラザーズへレコード会社の移籍があった。にもかかわらず高い水準の仕事を間断なく発表している。


 このジャケット写真に写るのが、ナッシュヴィル・シンガーズの面々だ。
 左に映るのがアニタ。右側の女性が、ドティ・ディラード。
 ドティはこちらのインタビューで、アニタ・カーと仕事をするに至ったプロセスを語っている。



 ドティは音楽を感じる耳がパーフェクトとアニタに讃えられ、グループに誘われている。アニタがどのようにしてコーラスのメンバーを見いだしていたのか、オーディションをしていたのか、現場の一端が伝わってくる。


 ヘンリー・マンシーニも、アニタ・カーも、イタリアの血を引く音楽家だ。
 このアルバムの全体に流れるゆるやかな抒情には、イタリアに由来する音楽感性が感じられる。どこか悲しみをたたえた音楽の表情。明るいのだが、どこか悲しい。ふたりは、そんな感性に共通しているように思う。(大江田信)


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