Chris Anderson クリス・アンダーソン / Delicate Balance

Hi-Fi-Record2012-09-12

先週の「タモリ倶楽部」、ご覧になった方も多いかと思います。


シンセサイザーの産みの親、ロバート・モーグ博士が開発したMOOG(通称:箪笥)を紹介する企画で、なんとあの冨田勲さんがゲストだったのであります。
しかもアシスタント(弟子とのこと)には、あの"4人目のYMO"と謳われた松武秀樹さん。
ちなみにこのスタジオ、確か冨田さんのアルバムのジャケット(濃紺に加工、タイトル失念しました)でも見たような気がします。天井の照明が特徴的だったので。


今在庫はありませんが、お二人ともにウォルター・カーロスの「スイッチト・オン・バッハ」がムーグを欲したきっかけとのこと。
ちなみに番組でもたびたび紹介された冨田勲「Snowflakes Are Dancing」(米盤)は、当店でも仕入れる度に足早になくなってしまう隠れ人気の一枚です。


放送で冨田さんが「松武くんの場合はスポンサーというかパトロンが(お金出してくれて)」と笑いながらおっしゃった部分がなんとなく気になっていたのですが、ウィキペディアを読むと、松武さんは師匠にあたる冨田さんがモーグIII-Cを個人輸入した翌年には自分で購入されているようで。
現代の感覚でいうと21歳で一戸建て購入、みたいな感じでしょうか。
いやぁ、パトロンってコワイですね(羨ましい)!


Chris Anderson クリス・アンダーソン / Delicate Balance


アメリカのミシガン州の小さな街に住む青年が、非常に高価なモーグシンセを手に入れて、夢中になって弾いた記録をひっそりとリリース。


もう、親父の金か、パトロンか、としか考えられなくて(笑)。


「この地域では人気だった!」などという話題性や売り文句もなく、ただ彼の好きであったであろうポップスやスタンダードのカヴァーを収録。
冨田勲先生のようなアヴァンギャルドな精神は皆無ですが、とにかく「このウニュウニュした音がクールなんだ!」という好感の持てる気概、純真さを感じずにはいられません。


話は戻って、番組途中、ついさっき出した音と設定は同じはずなのに異なる音色の音が出てしまうシーンがありました。


クリス・アンダーソン氏のアルバムのタイトルは「デリケート・バランス」。
「ああっ! もう!」の連続、いやもう本当にモーグの扱いに頭をかかえながらの録音だったのでしょう。
「最初は鉄クズを買ってしまったと思った」と冨田勲先生もおっしゃってましたし!


(藤瀬俊)


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