All You Need Is Love / Anita Kerr Singers
ワーナー・ブラザーズ在籍時代のアニタ・カー音源をまとめたベスト盤CD「ヴェリー・ベスト・オブ・アニタ・カー」が発表される。プロデューサー・作編曲家・コーラス主宰者として活躍した彼女の仕事ぶりを聞く作品、こちらの選曲・ライナー執筆を行った。
選曲の過程で、またいつものようにご本人とやりとりをした。面白かったのは、ナッシュビル時代とは随分と制作時の発想が変わって来ていることだ。ワーナー時代は、目前に起きている音楽の変化に積極的に呼応しようとした。
アルバム「All You Need Is Love」においては、ロック・ヒッツを選曲して歌った。選曲は彼女自身。自身の好きな曲を選んだ。自分たちはロックを歌うようには見えないかもしれないけれども、実はロックを歌うことができることを証明したかったと、本人のメールにあった。
うまく意訳できないので、ちょっと分りにくいかもしれないが、要するに自分たちはロックを歌うアーチスト達と時代精神を共にしていたんだと言いたいのだろう。ココロはバッチリ、ロックだったのよ。
CD「ヴェリー・ベスト・オブ・アニタ・カー」には、このあたりの彼女の気持ちに少しでも応えようと思って選んだ曲がある。
そのトップ・バッターは、アルバムに収録されること無くシングル・オンリーとなった「All This」。今のコトバにすると、素晴らしい"ソフト・ロック"だ。このモノのシングル盤をステレオ針で聞くと、ダイナミックなサウンドがどうしても少し歪み気味なるのだが、21世紀の技術を持ってしてCD用にマスタリングしたサウンドは、とてもすっきりしたものになった。スゴーく嬉しい。
次回に続きを。まだまだこのCDについて触れたいことがある。(大江田)