Maria Muldaur マリア・マルダー / Maria Muldaur

Hi-Fi-Record2007-05-24

 やっぱり楽しいレコード。
 ボクの世代の名盤ってやつなので、持ち上げるのはどうも面映ゆいのだけれども。


 独り立ちしたばかりのマリア・マルダーの向こうっ気と、アメリカン・ルーツ・ミュージック再訪の新鮮な喜びとがうまく掛け合わされている。
 プロデュースにジョー・ボイドがかんでいるのがミソかも。
 60年代の初頭にアメリカのアーチストをイギリスに紹介する仕事を始めたことを機に、彼の地に移り住んでいたジョー・ボイドが、久しぶりにアメリカで仕事をした作品だ。レコード・プロデューサーとしては始めて名前が記されたメイド・イン・アメリカのレコードだったはずだ。


 ルーツ・ミュージックの目配りへのバランスの良さと、ポップな口当たりの良さ。泥臭さを失わないマリアのボーカルがいいし。
 とてもよく出来ているシンガーズ・アルバムだろう。
 ひとクセもふたクセもある作家たち、一時代を画したその顔ぶれを、絶妙に一覧できる。こういうシンガーズ・アルバムって、あるようでなかなかない。(大江田信)


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