Maria Muldaur マリア・マルダー / Maria Muldaur
やっぱり楽しいレコード。
ボクの世代の名盤ってやつなので、持ち上げるのはどうも面映ゆいのだけれども。
独り立ちしたばかりのマリア・マルダーの向こうっ気と、アメリカン・ルーツ・ミュージック再訪の新鮮な喜びとがうまく掛け合わされている。
プロデュースにジョー・ボイドがかんでいるのがミソかも。
60年代の初頭にアメリカのアーチストをイギリスに紹介する仕事を始めたことを機に、彼の地に移り住んでいたジョー・ボイドが、久しぶりにアメリカで仕事をした作品だ。レコード・プロデューサーとしては始めて名前が記されたメイド・イン・アメリカのレコードだったはずだ。
ルーツ・ミュージックの目配りへのバランスの良さと、ポップな口当たりの良さ。泥臭さを失わないマリアのボーカルがいいし。
とてもよく出来ているシンガーズ・アルバムだろう。
ひとクセもふたクセもある作家たち、一時代を画したその顔ぶれを、絶妙に一覧できる。こういうシンガーズ・アルバムって、あるようでなかなかない。(大江田信)