やまがたすみこ / エメラルド・シャワー

Hi-Fi-Record2009-10-14

 今になって振り返ると、かつて日本コロムビアにディレクターとして在籍していた間に制作したアルバムのなかで、この作品が最もボク自身の色合いが出たもののように思う。
 と書き出したのも、自分がかかわった作品ということで、どこか恥ずかしい気持ちが捨てきれないからだ。


 アルバム全体が、一人の女性における愛の始まりと終わり、そしてその後を描き出すストリーになっていることなど、稚拙ながら思いを巡らして考えた痕跡が、そこかしこに見える。
 作品の発注を通して、来生たかおさんと出会い、大のギルバート・オサリヴァンのファンである来生さんから、信奉するギルバート・オサリヴァンの作品作りの巧みと素晴らしさをこと細かく教わったことなど、忘れがたい思い出だ。


 ぼくの願いと言うか、わがままをやまがたさんに聞いてもらって実現したのが、「雨上がりのサンバ」のカバーだ。森山良子さんの歌唱をラジオで聞いて、それ以来、大好きだったこの曲を、新たなアレンジを施して新装した。サビのところで大胆な転調と共に出て来るコーラスの広がりも素晴らしいし、なによりやまがたさんのボーカルが、森山良子さんとはまたひと味違う若々しい男女の青春の交歓を描く。


 森山良子さんの「雨上がりのサンバ」は、ディレクターの本城和治さんが手がけて生まれたもの。
 数年前になるが、本城さんご本人にこの歌にまつわるボクの思いをお話し、そして音源をお届けした。
 次にお会いする機会があったら、ぜひ感想を伺ってみたい。(大江田信)


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