Bucky Pizzarelli With Joe Venuti バッキー・ピザレリ / Nightwings

Hi-Fi-Record2009-10-15

 最近になって、急にオヤジと接する機会が多くなって、いろいろとおもしろいことに気づいた。
 もとよりオヤジに似ていると周囲から言われる方だった。それをうとましく感じて、強く否定するのが常だったのが、いやはや、こりゃ似ているぞ、まいったな、と思い始めたのだ。


 きっかけは、穴子丼だった。
 この正月にとある寿司屋で昼食を食べたときのこと、オヤジが穴子丼を選んだ。母が、穴子は好物だからねえと横で笑った。
 実はその店で先に友人と会食をした時に、ボクは穴子丼を選んでいた。まさか、オレの穴子好みはオヤジゆずりなのかとちょっと怯えてしまって、素知らぬ顔して、違うメニューをオーダーした。
 それ以来と言うもの、オヤジの食べ物の好みを注意深くみていると、どうも自分と重なるものが多い。今ではオヤジは酒を飲まないのだが、その昔を話に聞くと酒肴の好みがよく似ているし、ファットな食べ物好きなところもよく似ている。そういう観察をしていることすら、家族に気づかれまいとしているのだが、それにしても食べ物の好みの重複は認めざるを得ないと思い知った。
 
 
 親子というのは不思議なもので、共感と反発がない交ぜになっていると思う。そう思っているのは、息子の方だけなのだろうか。


 ジョンとバッキーのピザレリ親子。共に職人肌の音楽家
 ギターを歌う父、ジョン。息子はボーカルを選んだ。
 父のギターの端正な歌わせ方は、息子のボーカルのスタイルにどこかしら似ている。
 親子の不思議を、バッキーという音楽家の地肌を写し込むこのアルバムを聴きながら、思い描く。(大江田信)



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