Al Hirt アル・ハート / Honey In The Horn

Hi-Fi-Record2010-02-25

 「ジャワの夜はふけて」という邦題で知ったのか、それとも「Java」という原題で知ったのかは忘れてしまった。「ジャワの夜はふけて」のつもりで聞いていたり、「Java」のつもりで聞いていたり、それはたぶん手にしているアルバムに書かれている表記を眺めながらのことで、あるときこの二つが同じ曲のタイトルと知って驚いた。
 

 60年代のポップスの邦題が、作品の内容の意訳であったり、イメージの付加であったり、うまくいけば曲のヒット性を倍加するギミックだったりすることを目して付けられていることに、異を唱えるつもりなどない。フランス・ギャルの「夢みるシャンソン人形」とか、「ジャズる心」とか、素晴らしいタイトルだと思う。原意を伝えているのかどうか、フランス語に疎いので全くわからないが、そんなことを言うことはヤボというものと思う。60年代ポップスを担当されていた洋楽ディレクターは、ある種の詩人だったのだ。
 そういえばユーライア・ヒープのアルバム「Look At Yourself」に「対自核」という日本語をあてた当時のディレクター氏は、後年になって繰り返し「いいタイトルだろ」と酒席で繰り返し自慢していた。



 どうして「Java」が「ジャワ」になるのかよくわからない。どこかで誰かが間違えたのかもしれない。
 どちらのタイトルでもいいなあと思いながら作曲クレジットを見ていて、この曲の作者をアラン・トゥーサンと知った時にもちょっと驚いた。ザ・バンドとの共演や70年代の一連のワーナー/リプリーズのアルバムで彼を知った耳には、いささかイメージが違ったからだ。


 アル・ハートとアラン・トゥーサン。ああ、ニュー・オリンズつながりなのかなと思いつつ、なんだかとても腑に落ちたことを覚えている。(大江田信)


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