Norman Greenbaum ノーマン・グリーンバウム / Petaluma

Hi-Fi-Record2007-10-06

 そこそこヒットを出していたロッキンなボストンのジャグバンドを解散して、ロスアンジェルスにやってきた。地元のクラブで演奏していたところをプロデューサーのエリック・ヤコブセンに見初められ、ふたりで作った「スピリット・イン・ザ・スカイ」が大ヒット、それから2年。サンフランシスコ北の農村地帯に移り住んでエッグ・ファーマーに。そうした生活の中で育んだ音楽を、さらっとレコードにした。



 なにしろ卵をどうやって販売するのか、みたいな歌詞もあって。このジャケは嘘偽り無くホントってことです。



 マンドリン・ファンにはライ・クーダーの弾く、マンドリンの響きがたまらなアルバムでもある。マンドリン・ファンなどという僕のような同好の士がいればの話だが。
 ライ・クーダーマンドリン奏法は、この楽器のルーツであるイタリアから伝わったトレモロの奏法でもなく、ブルーグラスなどで用いられるカッティングを主とした奏法でもなく、独自のもの。ブルース・シンガーのヤンク・レイチェルの奏法を模した方法だ。
 オープン・コードっぽい構成音のコードをジャランと弾きながら、ちょっとしたオブリガード的なフレーズを交える。まるで小気味のいい12弦ギターのような音色が響く。



 いくつかのレコーディングでライ・クーダーはこのマンドリン奏法を披露しているけれども、このノーマン・グリーンバウムのアルバムで聴くのが一番だ。たっぷり演奏していて、マンドリンの楽しみがよく伝わってくる。(大江田信)


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