First Call ファースト・コール/ Somethin’ Takes Over

Hi-Fi-Record2007-03-31

 ファースト・コールとは、最初の電話のこと。レコーディング・セッションのメンバーを揃える際に、ディレクターやインペグのスタッフが、まず最初に電話をかけるミュージシャンのことを言う。


 彼らは音楽都市、ナッシュヴィルのスタジオ・ミュージシャン激戦地で長きにわたってファースト・コールの位置を保ってきたコーラス・グループだ。古くはジョーダネアーズ、インペリアルズ、アニタ・カー・シンガーズなどが同様の仕事をこなしてきた。L.A.だと黒人グループ、ウォーターズ、そしてかつての日本だと伊集 加代子さん率いるシンガーズ・スリーなどなど。その名前は、数多くのレコードのクレジットに見出すことが出来る。


 おそらくスタジオで渡される譜面を見ながら、初見で演奏するのだろう。実力がなければ出来ない仕事だ。
 ファースト・コール名義の作品は、このほかクリスマス・ソングをアカペラで歌った大変に美しいアルバムなど、80年代に複数の作品がある。そのどれもがコーラス・ファンにはたまらない内容。コーラスというとつい50年代、60年代物に耳が行くという方にも、ぜひ一聴をオススメしたい。マンハッタン・トランスファーよりも幅広い音楽性を持ち、シンガーズ・アンリミテッドよりもぐんと躍動的なサウンドが繰り広げられている作品だ。(大江田信)


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