Michael Monroe / Summer Rain

Summer Rain

 自伝出版、そして映画「ノー・ディレクション・ホーム」の公開以降、ミネソタ州ヒビング出身といった出身地を含め、ボブ・ディランが大学時代までを過ごした州ミネソタの紹介が、これまでにないほど目に付くようになった。ミネソタなんてこんな機会でも無ければ、語られることが皆無に等しい場所だ。シカゴから州都のセントポールまで、北西に車でほぼ7時間。北側の州境はカナダとの国境に隣接している。例年、9月末から翌年の4月頃まで、雪に埋め尽くされる。とにかく寒い。零下20度なんて、当たり前。別名、アメリカの冷蔵庫とも呼ばれる州である。



 このミネソタが、いったいどうして?と思うほどに、シンガー・ソングライターの宝庫なのだ。長く続く冬の寒さが歌を育むに違いないというのが僕の勝手な想像なのだが、はたしてそれもあながち的はずれでもないらしい。マイケル・モンローによれば、ジョーク混じりではあるけれども、暖まるために歌が必要なんだという。
 ミネソタのどこっだったかの街で初めて手にとって、それ以来、切らすことなくハイファイで扱ってきた「Summer Rain」。マイケルのほぼ処女作に相当する1980年のアルバムだ。マイケル・モンローは、ミネソタ育ち。今ではカナダ国境に近い森深いところに、スタジオを構えて音楽を生みだしている。
 それがこの8月にハイファイ大江田・松永が監修するビタースウィート・アメリカ・シリーズの1作として日本でCD化されることになった。この期にと思って、詳細なプロフィールを本人に尋ねてみたところ、すごくていねいな答えが返ってきた。ボーナストラックを配置した我々の選曲を、本人がとても喜んでくれた。ついこのあいだライナーを入稿したばかり。店頭に並んだら、ぜひ手にとってみて欲しい。


 ところでこの「Summer Rain」のLP。最近になってなかなか探し出すのが難しくなってきたこともあり、ご本人が手元に持っていたアナログ・レコードのすべてを譲ってもらった。シールドのほぼ新品。それがいまハイファイの店頭にある。
 ということでアナログレコードはハイファイがストックしているあと数枚で、ひとまずお終いになる。なんだかちょっとした感慨を感じてしまうのだ。(大江田)


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