Gordon Bok ゴードン・ボック / Gordon Bok

Hi-Fi-Record2008-09-04

 ゴードン・ボックのことを知ったのは、ピーター、ポール&マリーのアルバム「ライヴ・イン・ジャパン」に収録されたポール・ストーキーのギター・ソロ演奏による「サージ・ブルース」がきっかけだった。同曲の作者が、ゴードン・ボックだった。


 「サージ・ブルース」のオリジナルが、本アルバムに「Sergei」として収録されている。
 白人系のメロディを多く収録した本アルバムで、この「Sergei」のみが図抜けて黒っぽい味がする。
 白人系のメロディとはしたものの、その種のメロディもここでのゴードン・ボックのボーカルで聴くと、暗闇のなかのほのかに揺れる炎のような味わいだ。深みに向けて歩みを進めたり、行きつ戻りつしているような気分にとらわれる。陰鬱な気分の曲もある。


 少なくないアルバムを発表している人だ。多くのアルバムで口当たりのやわやかいヒューマンな歌い口を披露している彼が、なぜかこのアルバムのみで重心の低い、そして苦い声を響かせている。
 どうしてなのか、よくわからない。
 それがプロデューサーの手腕というものなのだろうか。ポール・ストーキーによるプロデュース作品。(大江田信)


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