Don McLean ドン・マクリーン / Tapestry
日本では余り語られることがない。
せめてマドンナがカバーした「アメリカン・パイ」の作者というか、本家本元くらいの認識だろう。
シンガー・ソングライターともフォークともつかない立ち位置も災いしているのかもしれないが、声高に彼の音楽に賛辞を捧げる声が見あたらないのも、また彼の音楽性ゆえのことなのかもしれない。
虚飾の無いとてもいい声をしている。そして実に真っ正直なうたを歌う。
かつては、それにちょっと赤面してしまった。でも実は心のどっかに引っ掛かっていた。
その声が、少しずつ耳の中で大きくなってきたような気がする。
例えば「And I Love You So」とつぶやくような歌声に潜むシャイな恥じらいのようなものが、聞こえてくるようになった。それでも歌いたいんだという気持ちが、恥じらいよりも少し勝っている。
そんな風にぼくには聞こえる。さりげなさがいい。(大江田信)