The Harold Land Quintet / Jazz Impressions Of Folk Music

Hi-Fi-Record2009-12-17

 50年代末から60年代の中期にかけて、ジャズのミュージシャンがフォークを題材として演奏したレコードを見かけることがある。それなりに並べてみると、結構な枚数になる。その当時、大学のキャンパスで、フォークとジャズが共にヒップなトレンドだったことが背景にあるのだろうが、考えてみればジャズはスタンダードから同時代のヒット曲まで、ラテン、アフリカ、カリブの音楽など、それらすべてを素材にして来たのだから、これもまたしごく当然、あっておかしくない作品ということになるのかもしれない。



 レコードを聴いていると気がつくのは、「フォークとジャズの融合」などという表現が全く当てはまらない内容だ、ということだ。ジャズ・ミュージシャンが「フォーク・ナンバーをジャズった」という方が、ピンとくる。
 

 そんなこんなを考えているうちに、そもそもジャズとはジャンルを示す言葉ではない、音楽の行動をさす言葉なのではないかと、思うに至った。アドリヴやブルーノートを交えるフレージングや、それぞれの演奏者の高い独立性、スイングするリズム感などと共に「音楽する行動」の全体をさす言葉として「ジャズ」を使うと、すんなりくるのではないか。
 スタンダードもラテンもカリブもアフリカも、フォークも「ジャズ」る。こんな風に言って、何の違和感も無いのだから。

 
 同じくロックも、ジャンル用語ではなくて、方法の用語、だと思う。これについては、またいつか。(大江田信)


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