Noggins ノギンス / Crab Tunes
ひと昔前というほどでもないが、
ジャム・バンドとかフリー・インプロみたいな志向のバンドが
結構流行った時期があった。
そのころに
そうしたスタイルの元祖みたいな感じで
グレートフル・デッドとかオールマン・ブラザーズが採り上げられていて
「へえ、そう言われればそうかもね」なんて思ったりもしたものだが、
今日このレコードを聴いていて、
いやいや、真の意味でのフリー・インプロって
このノギンスみたいなバンドのことじゃねえの?と
あらためて思い至った。
ノギンスとは
ヤングブラッズのドラマー、ジョー・バウアーと
キーボードとギターを担当していたバナナが中心となったユニット。
フリー・ジャズ志向とは言いも言ったり。
実際には
思い浮かべるままに
メロディの断片から展開した音遊びを
なんとかオチまで落着させる
ちょっとアクロバティックな楽屋芸に近いものかもしれない。
しかし
これが楽しいのだ。
音楽として成立するかしないかすれすれの、
こっち? いや、あっち? 的な音楽的迷い箸。
実は
ノギンスの音楽は
演奏者→聴き手という
与え、与えられる関係ではなく
「ねえきみはどっち行ったらいいと思う?」と訊いてくる
演奏者=聴き手みたいなものだと思った。
こういうバンドが
今いたら楽しかろうなと思う。
踊れそうで踊れない“クラブ・チューン”。
アルバム・タイトルは
蟹とのシャレだけど
絶妙に現代的で!
もうかんないだろうけど!
ぼくは見に行くけどね!(松永良平)