Noggins ノギンス / Crab Tunes

Hi-Fi-Record2011-04-16

ひと昔前というほどでもないが、
ジャム・バンドとかフリー・インプロみたいな志向のバンドが
結構流行った時期があった。


そのころに
そうしたスタイルの元祖みたいな感じで
グレートフル・デッドとかオールマン・ブラザーズが採り上げられていて
「へえ、そう言われればそうかもね」なんて思ったりもしたものだが、
今日このレコードを聴いていて、
いやいや、真の意味でのフリー・インプロって
このノギンスみたいなバンドのことじゃねえの?と
あらためて思い至った。


ノギンスとは
ヤングブラッズのドラマー、ジョー・バウアーと
キーボードとギターを担当していたバナナが中心となったユニット。


フリー・ジャズ志向とは言いも言ったり。
実際には
思い浮かべるままに
メロディの断片から展開した音遊びを
なんとかオチまで落着させる
ちょっとアクロバティックな楽屋芸に近いものかもしれない。


しかし
これが楽しいのだ。
音楽として成立するかしないかすれすれの、
こっち? いや、あっち? 的な音楽的迷い箸。


実は
ノギンスの音楽は
演奏者→聴き手という
与え、与えられる関係ではなく
「ねえきみはどっち行ったらいいと思う?」と訊いてくる
演奏者=聴き手みたいなものだと思った。


こういうバンドが
今いたら楽しかろうなと思う。
踊れそうで踊れない“クラブ・チューン”。
アルバム・タイトルは
蟹とのシャレだけど
絶妙に現代的で!


もうかんないだろうけど!


ぼくは見に行くけどね!(松永良平